マギーおばさんのお話2(編んでる村の音楽会)
マギーおばさんのお話 2(編んでる村の音楽会)
マギーおばさんの朝がきました。
ポストはブリキのかばんがた、ペルーのおしろの門のあったものです。
王さまにおわかれになにかほしいものは、とたずねられてそれでは、と
いただいてきたもの。
国中の人たちが「うれしいこと」「こまったこと」など王さまにつたえたいときに
だれでもつかうことができました。
ちょうどふるくなったのであたらしいものととりかえるところでした。
マギーおばさんはこのかばんのポストをジューンベリーの木にそなえつけたのです。
ポストにはいちまいのかみがはいっていました。
「ん…」
ちょっとかわった、それでもとってもかわいいてがみです。
「あなたのギターの音がすてきです。
わたしたちにおしえていただけませんか?
ねこのマイ」
たしかにきのうのゆうがた、にわのベンチにこしかけて
ギターをひいていたので、それをきいていたのでしょう。
ねこのマイ?わたしたち?
マギーおばさんはへんじのかわりにベンチにギターをたてかけておきました。
するとあらわれたのは、ねこ三びき!
| まるちゃん マイちゃん あかねちゃん マギーおばさんはおおよろこび。 だってきゅうにおともだちが三びきもあらわれたんですもの。 にわはすてきなスタジオ! さっそくおとあわせ。 いつのまにかデコちゃんたちもたのしい音楽につられてあつまってきて、 もちろんそとにはでてこないけれど、いえのなかではあやしげなどうぶつたちが 音楽にあわせておどりだしていました。 |
その日はゆうぐれちかくまでれんしゅうはつづきました。
「またね。」
とやくそくをかわしたマギーおばさんにマイがそっといいました。
「わたしたち、かいぬしのしずかママにちゃんとしたきょくをきかせ
たいのです。わたしたち三びきをひろってそだててくれたママにおくりもの…。
すてきでしょ。」
むねがいっぱいになったマギーおばさん、三びきのねこたちをしっかりとだきしめました。
「すてきな音楽界をひらきましょ。」
さてさてマイたちのおうち、しずかママのおうちではママがゆうごはんを
よういしてまっていましたよ。三びきがそろってこんなにおそいなんて
どこにいったのかしらとしんぱいしながら。
しずかママはいまはひとりぐらしをしていてもうすぐ80さい。
でもさびしくなんてなくて、マイたちのせわでいそがしくすごしています。
ママのいえにはずいぶんまえに、おまごさんがつかわなくなったキーボードがあって、
しずかママはときどき、ひいています。
マイはあかねちゃんやまるちゃんにおとなしくさいごまできくんだよ、
といいきかせるのにふたりはあきてしまってフラフラあるきまわってしまうのです。
マイははじめマイケルというなまえでしたが、あとでおんなのことわかってマイちゃんに
なりました。あかねちゃんもまるちゃんも女の子。マイのあとについてきていつのまにか
しずかママんちのこどもになりました。
そのたびにおいしゃさんにつれていって、ちゅうしゃしたりしていろいろたいへんだった
ようですが「かわいい、かわいい」がくちぐせのママのいえでぬくぬくのしあわせの日々を
すごしています。
でもねこなかまにきくと、まいにちのごはんにありつくのもたいへんだそうで、きのうまでかってくれていてもとつぜんおいだされることもあるとか。
そんなときにはじっとさせられることくらいがまんしなきやあってはなしあっては
いるのですけれど。
そのママももうすぐ80さい。
こしに手をあてて「ふうぅーっ」っていきをはいているのをみてマイはおもったのです。
しずかママになにかたのしいことプレゼントしたいな」と。
そんなとき、ねこじゃらしさんぽ道をあるいているときこえてきたのが
マギーおばさんのギターえんそうです。
やさしくてあたたかくて、そしてせつないひびきにマイはうっとりしてしまいました。
そして三びきでそうだんして、てがみをだすことにしたのです。
「わたしたちにギターをおしえてください。」なんてね。
ギターは三つそろえられなくて音がでればなんでもいいや、とちょっとらんぼうな
せいとたちではありますが、マギーおばさんはにこにこひきうけてくれたんですよ。
はるがすぎ、なつがすぎ、あきがきたころには
ねこじゃらしさんぽ道をとおるねこさんたちもたくさんあつまってくるようになりました。
それでね、このふゆにはしずかママをむかえて音楽会をひらけることになりそうなのです。
あの日マギーおばさんがぺルーをなつかしんでひいていた、
やさしくあたたかく、せつないひびきの「コンドルはとんでいく」いっきょくだけの音楽会ですけど。
よかったらみなさんもどうぞ!
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